中森明菜/歌姫 -Stereo Sound Selection- Vol.3
中森明菜:歌姫 -Stereo Sound Selection- Vol.4
アナログレコード
33回転 180g 重量盤
発売日:2022年3月24日
※ステレオサウンド社独占販売品
文・牧野良幸 2022年4月10日
ステレオサウンドの中森明菜「歌姫」LPレコード第4弾
ステレオサウンド(Stereo Sound)から、中森明菜の歌姫シリーズ第4弾のアナログ・レコードが発売になった。『中森明菜:歌姫 -Stereo Sound Selection- Vol.4』である。
第4弾まで続いていることからもわかるように人気のシリーズ。中森明菜の「歌姫シリーズ」をステレオサウンドが独自に選曲・構成したレコード。もちろんステレオ・サウンドらしくカッティングもこだわってのLP化である。
毎回名曲が選曲されている同シリーズだが、今回は“演歌編”とも言えそうな選曲だ。
石川さゆり「天城越え」、青江三奈「伊勢佐木町ブルース」、八代亜紀「舟唄」、そして石原裕次郎「夜霧よ今夜も有難う」など、誰もが一度は耳にしたことがある曲だろう。
他にも山口百恵や奥村チヨ、森昌子などの曲をカヴァーしており、昭和世代の方ならドレドレと聴いてみたくなる違いない。
この選曲については、ライナーノートでオーディオ評論家の小原由夫氏が書いているように、最近の歌謡界のジャンルをまたいだボーダーレスな活動を考慮してだろう。アイドルの中森明菜が演歌を歌って何もおかしくない。このLPはそれをいい音で残し、アナログレコードで聴ける好企画だ。
演歌やムード歌謡こそ、高音質LPで何度も聴きそう
それにしても中森明菜が「夜霧よ今夜も有難う」を歌ったらどうなるだろう。
そう考えただけでワクワクする。で実際に聴いてみると全然違和感がないのであった。そればかりか、この名曲を自分のものにしている。つくづく中森明菜のヴォーカリストとしての才能を感じた。あと奥村チヨの「終着駅」のカバーも明菜の声にあった選曲だ。
中森明菜のシンガーとしての才能は、思いっきり演歌の「天城越え」でもわかる。ここまでコブシを回すのが上手いとは。
僕は若い頃から、洋楽、日本のポップス、ジャズ、クラシックを好んできたわけだが、さすがに演歌だけは聴いてこなかった。
しかし最近は、新しいロックやポップスに食指が動かない。その逆に、昔の演歌やムード歌謡を好む自分がいることに驚く。
その意味でもこのレコードは実に味わい深い。最近は買ったものの一度か二度聴いて終わりのソフトが多い中で、こういう演歌&ムード歌謡のレコードこそ、この先も取り出して聴くのではないかとひそかに思っている。
最後に音質の話だが、毎度ステレオサウンドのLPレコードの音は素晴らしく、中森明菜の声が生々しく再生される。
今回はこれまでの3作品と違って、カッティング・エンジニアが変わった。東京・湯島の「Piccolo Audio Works」のエンジニア、松下真也氏が担当している。松下氏はこれまでもステレオサウンドの五輪真弓やザ・ビーナッツのLPレコードのカッティングをしてきた人だ。その手腕とセンスにステレオサウンドは信頼を寄せているのだろう。
香西かおりのカバー「無言坂」では腰の低いどっしりした音が出る。森昌子「越冬つばめ」のカバーがB面最内周だが、最後まで澄んで伸びのいい音だ。
個人的にはヴォーカルとバックの演奏とのコントラストの違いを楽しんだ。システムのグレードによってさらに描き分けができるかもしれない。
Side A
- 天城越え 石川さゆり
- 氷雨 日野美歌
- 舟歌 八代亜紀
- 伊勢佐木町ブルース 青江三奈
- 夜霧よ今夜も有難う 石原裕次郎
Side B
- 愛染橋 山口百恵
- 無言坂 香西かおり
- 終着駅 奥村チヨ
- 越冬つばめ 森昌子
中森明菜:歌姫 -Stereo Sound Selection- Vol.4
アナログレコード
33回転 180g 重量盤
発売日:2022年3月24日
※ステレオサウンド社独占販売品