topaboutblogClajazzpopsjpopselect
ケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団
武満徹 〜マイ・ウェイ・オブ・ライフ +ドキュメンタリー 作曲家 武満徹の軌跡


Takemitsu - My Way of Life

収録2005年4月
国内盤
NHKエンタープライズ
Blu-ray+DVDの2枚組

Amazon

DISK1ブルーレイ
『武満徹 〜マイ・ウェイ・オブ・ライフ』(舞台公演)
映像16:9
5.1サラウンド・リニアPCM
5.1ドルビー・デジタル
2.0リニアPCM

DISK2 DVD
『ドキュメンタリー 音 おと 作曲家武満徹の軌跡』

武満徹の音楽を使った舞台作品

 本作は2005年4月、東京文化会館でおこなわれた『マイ・ウェイ・オブ・ライフ』のライヴを収録したブルーレイです。この作品はベルリン、パリと上演されてのち、東京でも上演されたのでした。
 もう1枚DVDがついていて、そちらには武満徹の人生を追ったドキュメンタリーが収録されています。

ブルーレイ『マイ・ウェイ・オブ・ライフ』

 この舞台作品『マイ・ウェイ・オブ・ライフ』は、厳密には、武満徹の作品ではありません。指揮者のケント・ナガノが武満の既存の曲を使用して、オペラのような作品にしたてたものです。
 ケント・ナガノは生前の武満に、オペラ制作の依頼をしていましたが、作曲家の死によって実現しませんでした。その思いもあって、この企画を考えたのでしょう。
 使われる曲は「弦楽のためのレクイエム」「ノヴァンバー・ステップス」、有名な曲から始まって、晩年の「マイ・ウェイ・オブ・ライフ -マイケル・ヴァイナーの追憶に-」「系図」と、年代順に流れるようにしてあります。どの曲もカットはしていないと思われます(たぶん)。

内容と演出

 演奏はケント・ナガノ指揮ベルリン・ドイツ交響楽団。演出はヨーロッパでオペラの演出をてがけるペーター・ムッスバッハ。衣装は石岡瑛子。
 ストーリーは、簡単に書くと一人の老婆が、若い頃の自分に会う話ですが、舞台演出と同じく、かなり抽象化されているので、武満の音楽をそこなうことはありません。
 唯一、「ノヴェンバー・ステップス」の時、老婆が、琵琶と尺八奏者にモーションをかける演技があるのですが、そこだけは疑問をもちました。それまでの緊張感がとぎれ、ちょっと安っぽい演出に思えたのです。
 このシーン、奏者側でも製作者に変更を言ったみたいですが、結局そのままだったみたいです(付属DVDのメイキングにそのシーンが出てきます)。逆にいえば、映像を観ているつもりだった自分が、強烈に武満の音楽に引込まれていたのを、はからずも知ることになったわけですが…。

「系図」と「マイ・ウェイ・オブ・ライフ -マイケル・ヴァイナーの追憶に-」

 「系図(ファミリートゥリー)」は、アクターによってフランス語で語られます。「系図」は日本語版、英語版と聴いたことがありますが、このフランス語版が一番良かったです。
 フランス語の粋な発音が、オーケストラの音と見事に響き合い、新しい生命を得たようでした。この曲は極限まで甘いタケミツトーンになっていますが、僕はこの作曲家のなかでも重要作だと考えています。
 バリトンで歌われる「マイ・ウェイ・オブ・ライフ -マイケル・ヴァイナーの追憶に-」は、「武満がオペラを作曲していたら、こうなっただろう」と予想させる曲。ドビュッシーのようでもあり、ブリテンのようでもあり、この曲に、実現することのなかった「武満のオペラ」を垣間みた気がしました。

ブルーレイの「5.1サラウンド・リニアPCM」

 ブルーレイの音は、もちろん「5.1サラウンド・リニアPCM」で文句なし。会場の雰囲気を出すサラウンドで、オーケストラは前方ですが、ときおり聴こえる、武満の音楽とはちがう効果音は、360度サラウンドで、リアにも配置されてムードを出しています。

DISK2について

 2枚目のDVD『ドキュメンタリー「音おと」作曲家武満徹の奇跡』はありきたりのものかと思っていたら、かなりよくできていました。
 戦時中、旧制中学時代の武満の友人の証言、初めて武満の作曲した楽譜を見せられた音楽教師の証言、他の音楽家の証言、そして武満の家族の証言と、生の声が、評論や自伝で語られていた武満の人間像を、リアルなものとして感じました。

Amazon

同タイトルのDVD版
B0041F4Y70 NHKクラシカル 武満徹マイウェイオブライフ ドキュメンタリー 作曲家 武満徹の軌跡 [DVD]
DVDの2枚組。
2011.2.15