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Abbey Road Super Dellux Edditon(Blu-ray Audio+3CD) ザ・ビートルズ
アビイ・ロードスーパー・デラックス・エディション

アビイ・ロード スーパー・デラックス・エディション
Abbey Road Super Dellux Edditon(Blu-ray Audio+3CD)

Tower Records 国内 Tower Records 輸入
Amazon 国内Amazon 輸入

ステレオ/DTS-HD MA 5.1/Dolby Atmos

文・牧野良幸

『アビイ・ロード』が新2chミックス、5.1chサラウンド、ドルビーアトモスで

『アビイ・ロード』が発売50周年で、ジャイルズ・マーティンによる2019年新ミックスが制作された。スーパー・デラックス・エディションにはBlu-ray Audioが付き、高音質の2ch(PCM STEREO)5.1サラウンド(DTS-HD MASTER AUDIO)ドルビーアトモス(DOLBY ATMOS)が入っている。

中でもビートルズ初のドルビーアトモスは注目だ。ドルビーアトモスは天井にもスピーカーを付けて“高さ”も再現する最新のサラウンド。しかし筆者のリスニング環境では残念ながら聴けないので、発売前の試聴会でドルビーアトモスを聴いた感想を最後に書いておく。参考にされたい。あと本編のCD、ボーナストラック収録のCDについてのレビューは割愛した。


Blu-ray Audioのメニュー画面。演奏中は左上の樹木が風になびき、時折鳥の群れが横切る。「サムシング」の文字で右ボタンを押すと、Videoメニューがあらわれ「サムシング」の有名なミュージックビデオを見ることができる。その音源も本編と同じく3つから選べる。

2ch(PCM STEREO)


Blu-ray Audioと2019年新ミックスの本編CD

まずは2chで「PCM STEREO」を聴いてみる。Blu-ray AudioをOPPO BDP-105D Japan Limitedに入れるとメニュー画面があらわれる。ちなみにBDP-105Dはドルビーアトモスに対応していないのでドルビーアトモスのメニューは選べない。

実はメニュー画面が立ち上がった時点で「カム・トゥゲザー」が流れていて、その太い音にうろたえるのであるが、果たして2chは太い音だった。

ジャイルズの新ミックスは基本オリジナルと同じようなステレオ配置なので、オリジナルとの差が分かりにくいが、音質はオリジナルよりも良くなっている。高域は繊細、低域は厚い。押し出しは滑らかでスムーズ。音は立体感が備わりヴォーカルが剥き出しになるところでは空気感も備わっているかのようだ。


ボーナスCDの2枚

やはりミックスから作り直した効果は絶大で、新ミックスだけでも音質が相当に良くなっていると思うが、Blu-ray Audioで聴けば、「ビコーズ」や「サン・キング」のコーラスの繊細さが一層引き立つかと思う。

5.1サラウンド(DTS-HD MASTER AUDIO)

次は5.1サラウンド(DTS-HD MASTER AUDIO)。こちらも予想どおり素晴らしいものだった。さすがに音の豊富なアルバムだけに、「カム・トゥゲザー」の出だしからリアに音を配置してサラウンド感を演出する。例の「ジョンか? ポールか?」と議論の出る低い声のバッキングボーカルが左リアに配置。これは「カム・トゥゲザー」に限らず、アルバムはサラウンドになってもオリジナルのステレオのイメージを壊さない。

5.1サラウンドではセンタースピーカーにヴォーカルが割り当てられていて、スピーカーが生々しく鳴る。そのかわり、2chで味わったピュア・オーディオ的な空気感は薄いようだ。これはサラウンド自体で空気感を出すから、という考えからであろうか。


LPサイズのブックレット

いずれにしても、リアにバックコーラスが配置されても不自然な感じがしないほどに、サラウンド空間は自然で滑らかにつながっている。10年以上前のロックの5.1chサラウンドがベタな楽器配置だったことを思うと雲泥の差である。やはりジャイルズ・マーティンのセンスとテクノロジーの進化のたまものだろう。

最後の「ハー・マジェスティ」は右リアからフロントに移動して、左リアへと移動して終わる。オリジナルのステレオをサラウンドに置き換えた動きで、ここでもオリジナル重視のジャイルズの姿勢を感じた。

“天井を見上げた”ドルビーアトモス

『アビイ・ロード』のドルビーアトモスの試聴会は、発売前の9月の初めにDolby Japan社でおこなわれた。この文章を書いている1カ月以上前のことで、1回だけの試聴だったので不正確な部分もあるかと思うが、ご了承いただきたい。あくまで参考ということで読んでもらえたらと思う。

当日のスピーカー構成は「7.1.6」だ。「7」は床にスピーカーが7本。内訳は通常の5本にバックスピーカー(LとR)が2本。「1」はサブウーファー。そして「6」はドルビーアトモス用に、天井にフロントからリアにかけて小型スピーカーが6本。プレーヤーはOPPOで、UDP-205であったように思う。

「カム・トゥギャザー」の冒頭“シュッ”というヴォーカルが出た時から、いきなり残響音が上にも広がるのに気づく。隣に座っている人が天井を見上げたくらい。5.1chサラウンド歴10年以上の筆者も思わず天井を見上げてしまった。これがドルビーアトモスか。

ドルビーアトモスだと横にある音でも、天井へ伸びている、その高さを実感できる。例えば横からギターが出てくるのは5.1chと同じでも、ギターが上までの面積をキチンと持っているのが感じる。文字通り壁ごとギターになったような音になる。

“天井にスピーカーがあると高さを表現できる”、その意味を初めて実感した。ドルビーアトモスを聴いた後では、家で5.1chを聴いても、天井に音がないことをどうしても意識させられる。なんだか“音の屋根”がない感じだ。これまでサラウンドを表現する時に“プラネタリウム型”という言葉を使ったことがあったけれど、ドルビーアトモスでそれが現実化した気がする。

こうなるとドルビーアトモスではA面からプログレ風の気分である。「ジ・エンド」のリンゴのドラム・ソロは、まるでライヴの巨大PAで聴いているかのような迫力だ。

最後の「ハー・マジェスティ」は“ジャーン”の音から始まる曲であるが、その“ジャーン”がまるで天井から落ちてきたかのような錯覚を覚えた。こんな錯覚も天井にスピーカーがあるドルビーアトモスならではと思う。それでも露骨に上からの音を強調しないところがジャイルズ・マーティンのセンスの良さだ。

最後にまとめると、Blu-ray Audioは2chもサラウンドも素晴らしい仕上がりだった。サラウンドは5.1chよりドルビーアトモスの方がいいのは十分納得したが、5.1chでもこれはこれで楽しめる。将来ドルビーアトモスを導入することを楽しみにすればよい。今ドルビーアトモスが聴ける方なら申し分ないだろう。

2019年10月17日

『アビイ・ロード』50周年エディション

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