カーペンターズのベスト盤がスーパーオーディオCDで
カーペンターズがリチャード・カーペンター自身のプロデュースによりSACD化された。1曲目が「イエスタデイ・ワンス・モア」。
ウェナワズ、ヤン、アイ、リスン、トゥザ、レディ~オ~♪
昔のオールディーズを懐かしむ歌。当時は最新曲だった「イエスタデイ・ワンス・モア」だけど、今ではこの曲自体がオールディーズになってしまった。70年代に青春を過ごしたわたしも、エブリィ、シャラララーであり、エブリィ、オウオオーなのです。
ピンク・フロイドが『狂気』の前と後ではちがうように、カーペンターズも『ナウ・アンド・ゼン』の前と後ではちがうように感じる。『ナウ・アンド・ゼン』でカーペンターズは大物になったが、大物の衣は、なぜかシックリ思えず、カレンが可憐に(シャレです)歌っていた、初期の数々の名曲はエヴァーグリーンであります。
とはいってもカーペンターズのシングルはどれも素晴らしい。このSACDには21曲も入ってます。あの曲も、あの曲も、全部入っております。
たくましくなったカーペンターズ
このSACD/CDハイブリッド盤にはステレオとマルチチャンネルが収録されている。
ステレオは、ほとんどの曲がリチャード・カーペンターによってリミックスされている。各パートが距離感をもって鳴り、ふわりと前方に拡がるところはSACDならではだろう。
音はたくましくなっておりまして、アナログ・レコードで聴いていたカーペンターズは、上品で、か細く、それが寄宿舎にいるハイスクール女学生を思わせて、それもまた味だったのだが、SACDではグラマラスな大人の女性に変身したような音になっております。
「そのへんのソウルにゃ負けないぞ! クィーンにも負けないぞ!」という音だと思います。
リチャード・カーペンターによるマルチチャンネル
マルチチャンネルは伝説的エンジニア、アル・シュミットとリチャード・カーペンターにるミキシング。原曲のイメージをくずさないオーソドックなものだと思う。
センターにカレンのヴォーカルとリズムパートをのこし、両サイドに各パートが拡がる。スペースができるので、カレンのヴォーカルが居心地よさそうに響く。
マルチで聴くと、カーペンターズの編曲がすごくシンプルなのがわかる。必要最小限のパートが、ここぞという位置に収まっている。リチャード・カーペンターの編曲の腕をあらためて感じます。
わたしは、意外にもマルチ・チャンネルのほうで、LP時代のカーペンターズの雰囲気を感じました。でも、これは、使用しているセンタースピーカーが小型だからかもしれない。センタースピーカーにフロントのB&W804に見合ったものを用意すれば、また違う感じになるかもしれない。ステレオとマルチ、どちらもお好みで聴けます。
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2005.2.20
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