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T.レックス 電気の武者

ERECTRIC WARRIOR
T.REX

SACDマルチ/SACDステレオ/CD層を収録したハイブリッド盤です。ぜひ聴いてみてちょ。大ヒット曲「Get It On」収録。オリジナルのジャケット・デザインはヒプノシスである。

  1. Mambo Sun
  2. Cosmic Dancer
  3. Jeepster
  4. Monolith
  5. Lean WomanBlues
  6. Get It On
  7. Planet Queen
  8. Girl
  9. The Motivator
  10. Life's a Gas
  11. Rip Off

T.レックスの傑作『電気の武者』のSACD。

 言わずと知れたT.レックスの代表作。グラムロックの名盤です。
 わたしが、ポップスを聴き始めたのは、このアルバムが発売されたころで、T.レックスは“ポスト・ビートルズ”として音楽雑誌に取り上げられていた。
 「ビートルズの後継者として認められるなんて、どんな奴だ?」
 中坊としては気になる。さっそくラジオでエアチェックしたのだが、ビートルズと全然ちがう音楽にうろたえた憶えがある。
 しかし、マーク・ボランの爬虫類ぽいヴォーカル、それからブギー。「めちゃカッコいい、たまらん!」
 T.レックスが“ポスト・ビートルズ”かどうかはしらないが、わたしにとって、70年代前半のロック・イコンはT.レックスでOK牧場なのである。

当時のプロデューサー、トニー・ヴィスコンティ自身によるマルチチャンネル。

 『電気の武者』が傑作なのは言い尽くされているし、SACDステレオ層も申し分ないので、ここではマルチチャンネルについて書く。
 うれしいことに、このSACD、T.レックスのオリジナル・プロデューサーであるトニー・ヴィスコンティ自身が、マルチチャンネルのミキシングを担当している。
 ライナーには、マルチチャンネル化にさいしての、彼の解説が載っている。英語は苦手ですが訳してみました。
 トニー曰く、

  • 1972年録音時に、マルチチャンネルがあったつもりで、オリジナルテープからマルチにミックスしなおしたよ。
  • マルチは前方の半円180度にT.レックスがいるように収めた。ボランの声はセンター。ギターは左側と右側(前方の左と右じゃない)。ストリングス、ホーン、バックコーラスは場所を決めずに。でも基本はキミの前方180度に収めたよ。
  • 「Jeepster」では2本のチェロのほかにバズーンも聞えるよ。そう、バズーンさ!
  • いくつかの曲では、無指向性マイクロフォンを使って録音していたんだ。そのアンビエンス音はリアスピーカーに回した。そのおかげでレコーディング・ジャムをした部屋の大きさが感じられるはずだよ。
  • マルチでは、ステレオバージョンでは聞かれなかったストリングスラインやヴォーカルラインも聞けるよ。

 といったところである。
 「Jeepster」のバズーンは、ちょっとわたしの耳ではすぐに判断できなかったが、何回も聞けばわかるだろう。
 それより、「いくつかの曲」のアンビエンス音であるが、それは「Lean Woman Blues」「Planet Queen」「Girl」「Life's a Gas」「Rip Off」などだと思われる。
 これらの曲では、空間がスッと浮かびあがり、空気感の感じるマルチになるのがわかる。ごっつぉーです。
 トニーさん、いろいろやってくれてありがとう、である。

2004.9.7