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アンドレ・クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団
ベルリオーズ:幻想交響曲他[1964年東京ライヴ]

ディスク
André Cluytens
Orchestre de la Société des Concerts du Conservatoire
Berlioz
Symphonie Fantastique


録音1964年5月10日 東京文化会館
国内盤 Altus
SACD専用ディスク

Amazon ¥4,739

普通のプラケースにブックレット。ライナーは宇野功芳氏「クリュイタンスのライブを堪能する歴史的名演」。 江森一夫氏の曲解説。Alutsのカタログ(文字だけ)

クリュイタンスとパリ音楽院管弦楽団による、東京文化会館のライヴ

 本作は、アンドレ・クリュイタンスとパリ音楽院管弦楽団の、1964年の日本公演ライヴ(東京文化会館)。NHK収録のテープをSACD化したものです。SACD専用ディスクで、非圧縮データ収録。
 収録曲はベルリオーズの「幻想交響曲」、あとアンコールとして、ムソルグスキー(ラヴェル編)『展覧会の絵』より「古城」。ビゼー『アルルの女』より「ファランドール」。

SACDの音質

 本作は1964年の録音ということで、さすがにヒスノイズがあります。普通の音量ではそれほどでもありませんが、音量を上げた場合、pやppで音楽にかぶることになります。
 しかし、それでもレビューにとりあげたのは、音が伸びやかで、いいオーディオ音だと思ったからです。1964年のライヴ録音にしては、ヒスノイズをおぎなって余りある音質だと思いました。

何度も聴きたくなる「幻想交響曲」

 でも演奏が良かったのが、レビューに取り上げた一番の理由です。
 クリュイタンスとパリ音楽院管弦楽団の演奏は、今までの「幻想交響曲」の印象と、ちょっと違いました。
 「幻想交響曲」なら、こう演奏してほしいという、ドイツ・ロマン派風の情念的な感じはしませんでした。ロシア音楽風の劇的なところも希薄に思いました。ついでに、ロック好きとして聴くときの“プログレ性”も感じませんでした(笑)。
 クリュイタンスの演奏は、そういう「どろっ」としたものを、あまり感じさせない、“小粋な音色”で鳴らしているような気が僕はしました。
 こういうのが「フランスのエスプリ」というのでしょうか。第2楽章のワルツはとくに音が輝いていた気がします。
 とはいえ迫力は別問題です。第4楽章「断頭台への行進」、第5楽章では凄まじい金管の音。クライマックスはライヴならではの炸裂した音です。
 この「幻想交響曲」なら、きれいに心の中を通り抜けてくれる気がして、何度も聴きたくなる気がしました。

 あと「古城」と「ファランドール」も聴きもの。「ファランドール」は誰がやっても盛り上がりそうですが、これは、さらにその上をいく盛り上がりで、やっぱり金管がすごい。「アンコール、これで最後だ、やったれ!」という、ライヴならではの燃え上がりを感じました。

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2011.11.8