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サー・チャールズ・マッケラス指揮スコットランド室内交響楽団
モーツァルト:交響曲第29番、第31番「パリ」、第32番、第35番「ハフナー」、第36番「リンツ」


W.A.Mozart
Symphonies 29, 31,35,36

Sir Charles Mackerras
Sxottish Chamber Orchestra

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録音2009年7月
SACD2枚組
輸入盤、Linn

3開きのデジパック。ブックレットにはライナー。マッケラスとオーケストラの写真が1枚づつ。

マッケラスの残した晩年録音。モーツァルトの2番手交響曲集であるが名曲ぞろい

 本作はマッケラスのモーツァルト交響曲集。2007年録音『モーツァルト:交響曲第38番~第41番』(レビュー)の続編ですが、残念ながらマッケラスは本作を2009年に録音した翌2010年に亡くなっています。マッケラスの残した貴重な録音です。
 曲目だけをみたら、前作の後期交響曲集には見劣りするかもしれませんが、どっこい、このSACDも素晴らしい曲が入っています。

いつもポケットにいれておきたい第29番、輝きの「パリ」など

 最初はわたしの大好きな交響曲第29番。
 その第1楽章の冒頭メロディは、いつもポケットにいれておきたい珠玉のメロディです。わたしにとって、モーツァルトのなかで癒しメロディーNo.1。この第29番が入っているから、このSACDを買ったようなものです。

 そのあともギャラント・スタイル(派手ということ)の第31番「パリ」。序曲のような第32番。モーツァルトがウィーンに移り住んで、交響曲の道を究めはじめる「ハフナー」「リンツ」。
 この時期のモーツァルトの交響曲も、やっぱりいいのでした。

雄大な演奏に感じさせるSACDの音

 前作『モーツァルト:交響曲第38番~第41番』がモダンオケながらキビキビした演奏でした。
 ですから、この時代の交響曲なら、さらに軽やかに演奏してくると思った予想は外れました。どこか「雄大」な演奏なんです。この演奏は厚みがありコクがあります。

 そう感じてしまうのも、SACDの音に厚みがあるからかもしれません。低域も申し分なく出ています。
 マルチチャンネルで聴きましたが。残響音はほとんど耳に入らず、2chと間違うほどです。サラウンド成分は「ひたすらオーケストラの音をいいオーディオで聴かせる」ために駆使されている、という感じ。

 前方に実に心地よいオーケストラが広がります。それでいて厚みやコクがあるのですから、「雄大」と思ったのかもしれません。でも木管が聞えるほどの、音数が薄いところは、風の抜けるような空気感も感じました。
 本作の演奏と音質を総合すると、前作に続き「バランスのいいモーツァルト」。この一言にマッケラスの仕事ぶりを要約できると思います。

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2013.8.24