Astor Piazzolla
Tango:Zero Hour
制作1986年
国内盤、アメリカン・クラーヴェ
SACDハイブリッド
緑色オーディオファイルコーティング
Amazon
紙ケースに入ったデジパック仕様。
ブックレットにはエンリケ・フェルナンデスのオリジナルライナー、フェルナンド・ゴンサーレスのライナー、キップ・ハンラハンのオーディオに対するライナー(以上原文&対訳)。斉藤充正氏、高見一樹氏のライナー。
緑色オーディオファイルコーティング
ソニーの〈音匠仕様〉と同じものと思われる。緑色が赤色レーザーを吸収する補色となり音質をアップさせる。レーベル文字も邪魔にならないよう円周だけにプリントされている。
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ピアソラの代表作がリマスタリングされ、SACDハイブリッドで
ピアソラがアメリカン・クラーヴェに残した代表作『タンゴ・ゼロ・アワー』が、グレグ・カルビにより、リマスタリングされSACDハイブリッド盤としてリイシューされた。ピアソラ本人が「最高傑作」と言った本作品、さっそく聴いていました。
ピアソラというと「バンドネオン」そして「タンゴ」というイメージで、どこか民族的、またはローカルな音楽を想像してしまいますが、『タンゴ・ゼロ・アワー』はロックやジャズとおなじく、グローバルな音楽です。
とにかく音楽がカッコいい。
ピアソラだけでなく、ヴァイオリンやピアノなど五重奏団のメンバーがそれぞれカッコよく、絶妙のアンサンブルを聴かせます。
もちろんタンゴ調では凛々しいムードを出しますが、純粋にタンゴ風な音楽はわずか。
ピアソラの音楽は5つの楽器が作り出すジャズのようなインプロヴィゼイションであり、クラシックの現代音楽のような緊張したハーモニーであり、(楽器編成さえ替えれば)イエスやジェネシスのようなプログレにもなりそうなポップスであります。
どこまでもシビレル音楽の連続、ビートルズやマイルスのように憧れで聴いてしまいますね。
自然で真珠のようなクリアな音
ライナーで“デジタル嫌い”のキップ・ハンラハンが驚嘆しているように、このSACDのリマスタリングは見事な結果になったようです。「オリジナル盤よりも多くの音楽を見い出す技術がデジタルで終に登場した」と書いています。
音楽は若干エコーの効いた響きですが、音自体は自然なあり方。「音圧」がすっぽり取り除かれた空間は、とても透きとおっています。
その中で鳴る楽器の音は真珠のようなつやと、かろやかさ、そしてもちろん厚みのある音と、申し分なしです。
これら“刺激なし”のピュアな音は、ずっと聴いていて疲れないし、じわじわと染み込んできますね。
ディスクを「緑色オーディオファイルコーティング」にしてあるのもうれしいところ。ソニーの〈音匠仕様〉と同じものだと思いますが、ここまで配慮してくれると、いっそう大事にしたくなるディスクです。
Amazon
ピアソラの同シリーズのSACD
2010.3.19
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