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SACDhybrid ハービー・ハンコック
ニューポートの追想 V.S.O.P.


HERBIE HANCOCK
V.S.O.P.
Hybrid Stereo/Multi-ch
録音1976年
国内盤 ソニー・ミュージック
SACDハイブリッド2枚組

Amazon ¥3,955

1枚ものプラケースに2枚収録。ブックレットは、ペラ2枚折で、アナログジャケット見開きの再現。

別に4つ折のペラ解説。熊谷美広氏の92年CDのライナーを修正、再掲載したもの。

ハンコックはMCがカッコイイのも聴き所。発音がいいのかなあ。本録音にも、ハンコックのメンバー紹介がいろいろ入っています。

ハービー・ハンコックの3時期を俯瞰できるベストライヴ

 本作は1976年、ニューポート・ジャズ・フェスティバルでの“ハービー・ハンコックの追想”というプログラムのライヴ録音。
 その名の通り、ハービーの軌跡を3つのセクションに分けて、メンバーも替えて演奏したものです。

マイルスのクインテットの再会によるスペシャル演奏

 ディスク1が、マイルス・デイビスの60年代を支えたクインテット。当初この時だけの演奏の予定だったのでV.S.O.P,(Very Special Onetime Performance)と呼ばれました。
 「処女航海」「アイ・オブ・ザ・ハリケーン」といったハービーの“新主流派ジャズ”を、ウェイン・ショーター、トニー・ウィリアムス、ロン・カーターといった顔ぶれで聴けるのは初めて。
 声をかけたマイルスは当然不参加で、変わりのフレディー・ハバードも意外と穴を埋める以上の演奏です。この演奏は反響を呼び、1回だけの予定が、世界中へのツアー、何枚ものライヴ盤に実りました。
 当時は僕らも「V.S.O.P」といったら、サントリーのお酒よりも、こっちのほうが輝いていたものです(下にライヴ盤SACDを紹介)。
 アコースティクなジャズへの回避が、V.S.O.Pの人気になったと思いますが、ハンコックのピアノプレイは意外と、少し前にリリースされていた「ヘッド・ハンターズ」のフェンダー・ローズ風のところがあり、それも面白いところです。

70年初頭、エレクトリックへの過渡期のハンコック

 ディスク2の最初の3曲は、70年初頭の時代。「トーイズ」など、トロンボーンやフルートを加えたセクステット。管楽器の音色がグレートーンな感じで、不思議な広がりを憶える曲。
 そのなかで、ベースのバスター・ウィリアムスが、粘着的プレイで引き締めてくれます。

『ヘッド・ハンターズ』を彷彿させるファンクなハンコック

 4曲目と5曲目は、当時直近のスタイル、エレクトリックなハンコックです。サックスのベニー・モウピンはもちろん、新たにギターの、ワウ・ワウ・ワトソンとレイ・パーカー.jr(まだ歌を歌う前)が参加しているのがミソ。
 二人のギター・カッティングの絡み合いが『ヘッド・ハンターズ』にはない、この演奏だけの魅力です。
 そこにポール・ジャクソンのベースとハンコックが加わると、「すげえカッコイイ!」と唸ってしまいます。V.S.O.P.での演奏も良かったけれど、この演奏が、本作の中でも最高だと思います。
 このように、ハンコックの3期にわたる曲を、ライヴの一体感のなかで、スタジオ録音並みの完璧な演奏で聴ける。これがこの2枚組の魅力です。

 SACDの音

 SACDは2chステレオで収録。
 音はディスク2のバンドのほうが、厚みがあり、バランスもいいと思いました。特に『ヘッド・ハンターズ』期の演奏はエレクトリックなのだけれど、アナログ・ライクな厚みのある音です。
 ディスク1のV.S.O.Pの音は、ディスク2に比べるとちょっと上品ですが、それでも聴きやすい音でした。
 主役のハービーのピアノと、ロンのベースが前に出て、ショーターとハバードとウィリアムスが、やや引き気味という感じです。それでもショーターはソロが輝くので目立ちます。

Amazon ¥3,955

ハービー・ハンコック/V.S.O.PのハイブリッドSACD
2007年最新DSDマスタリング/通常プラケース(2枚組も1枚ものプラケース)
ヘッド・ハンターズ
ハービー・ハンコックの代表作。ジャズ、フュージョン、ロックと関係なく、メチャノリの演奏にシビレルことでしょう。アナログ時から音もスゴかったが、それがSACDで楽しめる。ハイブリッド盤での再発にあわせて、マルチチャンネルも新たに収録。
SACDラボレビュー
洪水 ライヴ・イン・ジャパン'75
『ヘッド・ハンターズ』をリリースしての75年来日ライヴ。アコースティックから始まる「処女航海」から、ファンク色抜群の曲にコンサートは進む。スタジオ録音以上のノリです。SACD化されない『突撃』の名曲「バタフライ」も収録。ヘッド・ハンターズ期のアルバムからのベスト的な選曲。
フューチャー・ショック
83年発表。初めて聴いた時の衝撃は今でも忘れられない。今ではあたりまえのように存在するスクラッチが、強烈に目の前に現れたのがこのアルバムだった。現代から見れば、古くさくも聴こえるテクノロジー・サウンドにも、ハービー・ハンコックのセンスが光る。グラミー賞受賞の「ロックイット」収録。
SACDラボレビュー
ニューボートの追想(V.S.O.P)2枚組
76年ニューポート・ジャズ・フェスティバルにおいて、ハービーの「60年代」「70年代初頭セクステット」「エレクトリック・ファンク期」を、おのおのバンドで演奏するという企画を収録したライヴ。ディスク1が、マイルス・クインテット再現のV.S.O.P.としてのスペシャル演奏。とにかくカッコいいが、ディスク2のエレクトリック・ファンクのノリもいい!ハービーのいろいろな音楽が楽しめるライヴ。
ライヴ・イン・USA/V.S.O.P.ザ・クインテット
『ニューポートの追想』で1回だけのつもりだったV.S.O.P.だが、大人気のためツアーをした77年の全米ライヴ。このクインテット、マイルスを引いた「引き算」クインテットと思ったら大間違い、才能溢れる5人の「たし算」クインテットです。マイルス・クインテットとは別の魅力を発見。
テンペスト・イン・ザ・コロシアム/V.S.O.P.ザ・クインテット
V.S.O.P.ザ・クインテットの77年、東京田園コロシアム「ライヴ・アンダー・ザ・スカイ」での演奏。V.S.O.P.のライヴ盤はどれも甲乙つけがたい。ハービーのプレイは本当にユニークで刺激的。同じくトニー・ウィリアムスのドラムも。そしてロン・カーターは一途にベースを弾いて負けていません。もちろんショーターもです。
ライヴ・アンダー・ザ・スカイ伝説/V.S.O.P.ザ・クインテット2枚組
79年の東京田園コロシアム、豪雨の中での伝説のライヴ。ライブ盤はどれもハービーのMCに味があるが、ここでは雨を気にして観客にジョークを飛ばしたり、機材濡れによる長い中断をMCでもたせたりと、スゴイ演奏の間に、張りきってMCしています。それだけに、観客と一体となった演奏が聴けます。
ファイヴ・スターズ/V.S.O.P.ザ・クインテット
79年来日公演『ライヴ・アンダー・ザ・スカイ伝説』演奏の3日後に、東京のソニーのスタジオでレコーディングされたV.S.O.P.唯一のスタジオアルバム。聴いてみるとスタジオもライヴとかわらない。どっちも凄いので、テンションの差は感じないですね。これもできればコレクションにいれたいものです。
ハービー・ハンコックのSACD
ハービー・ハンコック/ガーシュウィン・ワールド
高音質360度サラウンド、別の世界に飛び込めるジャズ・アルバム
Amazon
2011.5.24