ロック・オペラですが、やはりロックです。それもパンクな。
ザ・フーが69年に発表した名作、ロック・オペラ「トミー」のSACDです。 今日、ロック・オペラというと祝祭的で華やかなアレンジを想像してしまいますが(ビートルズの「サージェント〜」のように)、「トミー」はシンプルそのもの。 はやい話、バンド演奏です。それに管楽器などが少し加わるだけ。ザ・フーは「トミー」を自分たちだけで、ステージでも演奏できるように作ったそうです。 しかしバンド演奏といっても、ザ・フーである。 これがスゴイ。パンクでエネルギッシュな演奏。ピート・タウンゼントのかき回すようなギター。そしてやはり、キース・ムーンのドラム。目立つというか大暴れというか。ドラムで注目させるというのも凄いものです。 物語は、聞くことも、見ることも、話すことも拒否した少年トミーの人生を描いていく。 昔から、ストーリー仕立のロックは退屈するところがありまして、正直「トミー」も一部、そう思わないこともない。 でも、それも最初だけ。 聴き込むと、普通のロックアルバムとして演奏がいいし、曲も奥が深いことに気づきます。 このアルバム、マニアックにハマる恐れあり。ロック史上に残る名盤というのはそういうものなんでしょうね。
ピート・タウンゼント自身によるマルチチャンネル
ながい間、「トミー」のステレオミックスのオリジナル・マスターテープは破棄されたと思われていた。しかし、このSACD製作中に無傷で倉庫から発見されたのだそうだ。 SACDステレオは、そのオリジナル・マスターテープからおこされている。クリアだが、アナログ風の厚みのある音に感じた。 一方、SACDマルチチャンネルは、メンバーのピート・タウンゼント自身により、オリジナル8トラックテープから製作されている。 アーチスト自身が制作したんだもんなあ。どちらも聴かせていただきます。わたしは気分で聴きわけています。こういう聴きわけができるのって楽しい。
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2005.11.22
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