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デューク・エリントン
ハイファイ・エリントン・アップタウン


DUKE ELLINGTON
HI-FI ELLINGTON UNTOWN
(MONO)
録音1951-52年、N.Y.
国内盤、ソニーミュージック

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ソニーのSACD初期の正方形デジパック。解説は紙1枚を折ったもの。CD再発時のものを一部修正して収録。ボーナストラックはなし。

でこぼこのある曲構成で、アルバムを聴く楽しさ

 この作品は、聴き通すのが楽しみなSACDです。収録曲の構成が気に入っています。いわゆるベタなビッグ・バンド曲が並んでいるのではなく、1曲1曲のでこぼこ感がいいのです。

「スキン・ディープ」

 1曲目「スキン・ディープ」はいきなりドラムソロをフューチャーした曲。それもかなり長い。ドラマーのルイ・ベルソンは1950年代初頭のドラムソロとは思えないほど、パワフルに叩きます。まるでツェッペリンのジョン・ボーナムのような重量感。
 このドラムソロが、曲のほとんどをしめているのですから、アルバムのオープニングとしては意表をつかれた感じ。
 オーディオ的にはバスドラの重量感ある響きがたまりません。

「ザ・ムーチ」

 2曲目「ザ・ムーチ」は誰もが知っている有名なメロディ。
 ここで1曲目をチャラにするような、ポップで親しみやすいビックバンド・サウンドの登場です。
 このSACDはモノラルですが、リードをとる楽器の音は太く51年録音にしては、かなり存在感があるいい音だと思います。

「A列車で行こう」

 3曲目はおなじみ「A列車で行こう」。きたー!
 しかし、これも普通のアレンジではなく、コンボ編成からのスタート。ようやくビックバンドが有名なテーマを鳴らしたところで、ベティ・ロッシュのスキャット・ボーカルにチェンジ(これ後年、美空ひばりも参考にしたスキャットだとか)。
 さらにアレンジを変え、豪放なテナーソロが吹き荒れるといった案配。オシャレさと豪快さのまじったカッコいいアレンジの「Aトレイン」です。
 「Aトレイン」だけでなく、このアルバム全体を通してですが、アレンジ的に、コンボ・アレンジとビックバンド・アレンジの領域があいまいで、それもすごくカッコいいなと思っています。

「パーディッド」

 4曲目「パーディッド」は、もうノリノリのナンバーで、楽団員のアドリブ・チェイスに聴いているこちらもフィーバーします。モノラルなのに、なぜかSTEREOのような音のひろがりで、すごくいい。
 意表をつく1曲目のドラムソロから、曲を追うごとにポップさを増してきました。

「コントラヴァーシャル組曲」

 そして最後5曲目は「コントラヴァーシャル組曲」。
 エリントンの意欲作らしいですが、今までのポップ嗜好から一転して芸術嗜好に変わります。
 それまでの開放的なノリが薄れたのですが、そのかわり独特の緊張感があらわれ「おっ、ちょっと芸術的なサウンド」と思わずにはいられません。でも全然難解ではなく、ビッグバンドの楽しいナンバーでもあるのでご心配なく。
 で、この緊張感がピークに達したとき、組曲の2曲目「レイター」はあっさり終わってしまう。アルバムも終了。

 なんか不思議に始まって不思議に終わるイメージ。でも聴く時のステレスは全然ない。今日も、ノリノリの有名ナンバーの連続に「よかったあ!」と思う自分がいます。
 一度このアルバムを好きになってしまうと「ちょっとでもいい音で聴きたい」という欲望がでてくることは必至。できれば音の太いSACDで聴いてもらいたいものです。

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2010.1.25