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ブルーノ・ワルター指揮/ニューヨーク・フィルハーモニック、コロムビア交響楽団
シューベルト:交響曲第7(8)番〈未完成〉、ベートーヴェン:交響曲第5番〈運命〉


録音1958年
(未完成は3月、運命は1月)
国内盤と輸入盤
ソニークラシカル
SACD専用

Amazon(国内盤)
Amazon(輸入盤)

国内盤は正方形のデジパック仕様。

国内盤ブックレットは曲目解説だけの簡単なもの。

ジャケットは米キャピトルのオリジナルジャケット

ワルターの指揮する〈未完成〉、ニューヨーク・フィルの素晴らしさ

 このSACDは、おそらくクラシック・ファンがSACDを導入したらまず聴きたいSACDだと思います。
 ブルーノ・ワルターが指揮をしたシューベルトの〈未完成〉とベートーヴェンの〈運命〉のカップリング。LPレコード時代からあまりにも有名なもの。
 LP時代はA面が〈運命〉、B面が〈未完成〉だったことが多いですが、このSACDでは1曲目が〈未完成〉です。
 それもそのはず〈未完成〉はとても素晴らしいのです。
 まずオーケストラがニューヨーク・フィルであること。豊かな弦セクション、やわらかな管楽器。〈運命〉を演奏するコロムビア交響楽団とは全然音がちがいます(オーケストラ的にもオーディオ的にも)。
 オーケストラだけでなく演奏もいいんですよねえ。ロマンチックの極み。
 ワルターの暖かみと音をいつくしむ姿勢は、時に疾走感を奪うものですが、この〈未完成〉ではドンピシャの素晴らしさ。まるでロマン派に位置するような〈未完成〉で、ワルターの演奏を聴くと「オリジナル楽器をつかった、当時の演奏スタイルで聴きたい」とは夢にも思いません。
 30年近く前、最初にLPで聴いたときから「〈未完成〉はワルターでよし」と決めています。それをSACDで聴ける幸せ、ですね。

コロムビア響との〈運命〉もまたよし。ワルターなのだから

 いっぽう〈運命〉のほうはコロムビア交響楽団。音は少し硬くなり、さすがにニューヨーク・フィルには及びません。
 〈運命〉の演奏も〈未完成〉ほど、個人的にはスペシャルではありませんが、もちろん歴史的指揮者のワルターの〈運命〉ですから、「ワルターの〈運命〉を聴こう」という動機で聴くことも多いですね。
 「お、こんな風にやっているな」と気をつけているだけでも楽しいのです。ここでもワルターならではの演奏形式を読めたりします。
 音は〈未完成〉〈運命〉ともヒスノイズが多少ありますが、この演奏の前にはまったく問題なし。
 それにしても思い出しては、また聴きたくなります。ワルターの棒でロマンチックにゆれる〈未完成〉をどうぞ。SACD専用ディスクです。

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ワルターのSACD
ベートーヴェン:交響曲第6番〈田園〉/ワルター
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モーツァルト : 交響曲第38番ニ長調K.504「プラハ」&第40番
40番は晩年のワルターの心境を反映し、録音も当時の最高水準のもので、末永く聴き継がれる不滅の名盤。個人的には「プラハ」のほうの演奏が好き。
2010.1.13