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S
フルトヴェングラー指揮フィルハーモニア管弦楽団/フラグスタート/ズートハウス
ワーグナー:楽劇〈トリスタンとイゾルデ〉全曲

ディスク
Wagner:Tristan und Isolde
Furtwängler
Philharmonia Orchestra

MONO
録音1952年
国内盤 4SACDハイブリッド
EMI Japan

Amazon ¥7,800

紙ケースは筒状、箱ではない。そのなかに、昔ながらの4枚組プラケースとブックレット。ブックレットには、曲解説。歌詞対訳。

アビイ・ロード・スタジオによるリマスター。

フルトヴェングラーの〈トリスタンとイゾルデ〉

 フルトヴェングラーの有名な〈トリスタンとイゾルデ〉全曲盤も、SACDでリリースされたので聴いてみました。
 録音は1952年で、巨匠もこの録音には満足していたとか。レコード史上、初の〈トリスタンとイゾルデ〉の全曲録音です。なおSACDとしても、これが全曲盤では初めてのSACDとなります。

生々しい声楽、オーケストラは、木管、弦の低域が充実。

 もともと音のいい録音でしたので、SACDでも大変満足です。
 声楽は文句なしにいい音。フラグスタートやズートハウスの声が生々しく現れます。これは現代録音と遜色ありません。
 弦の音は硬さはあるものの、低域は充実しています。バスの音も深い。
 木管はフルトヴェングラーの録音では硬めの時がありますが、この録音では、柔らかいと思います。ここでも低域が充実していて、バスクラリネットなどが栄えます。第3幕の牧童の、長いイングリッシュホルンも柔らかい。
 モノラル録音ですが、十分に広がります。マルチチャンネルに似て、聴いていて心が落ち着きます。

ロマンチックを越え、人間の情欲ま描く演奏

 〈トリスタンとイゾルデ〉は、バーンスタインの録音が、非常にロマンチックで発売以来の愛聴盤ですが、フルトヴェングラーの演奏は、さらに上をいくロマンチシズムです。
 バーンスタインが、音のロマンチックにとどまっているとしたら、フルトヴェングラーは情欲まで描いたロマンチックです。4枚のディスクは、どれも聴きだしたら、最後まで聴き通してしまいます。

 特に凄いのは第2幕でしょう。
 夜の密会の場面では、ふたりの「求め合う」音楽が凄い。フィルハーモニア管弦楽団も「どうしちゃったの!?」と思うくらい、欲情の音をふたりに絡めてきます。
 対比として、続く「愛の二重唱」は夢幻的な音。そのあとの、マルケ王の長いソロも、退屈せずに聴けてしまいました。ここはオーケストラが綺麗で、オーディオ的にも魅力でした。
 第1幕、第3幕ももちろん、凄い演奏です。若きフィッシャー・ディースカウもクルヴェナールを歌っています。

ワグナー・ソプラノ、フラグスタートの歌唱も堪能

 イゾルデを歌っている、キルステン・フラグスタートは20世紀最大のワグナー歌手。
 録音時は絶頂期をすぎていて、声に陰りがあるのは確かですが、それでも崇高さは十分です。フラグスタートの歌唱は、ギリシャ彫刻のような軌跡を描いていくよう。やっぱり比類なき存在だと思いました。
 フルトヴェングラーの演奏とあわせて、フラグスタートの声が、良質の録音で、そしてSACDで十分に堪能できるのですから、言う事はありません。これも永遠のお宝ディスクとなりました。

Amazon ¥7,800

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2011.7.24