Furtwangler in WIEN I
『ウィーンのフルトヴェングラー第1集』
フルトヴェングラー指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
1948、49、50、51、54年録音
国内盤、EMI
SACDハイブリッド
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見開きのデジパック。
ブックレットには浅里公三氏のライナー「SACDで聴くフルトヴェングラー」。
満津岡信育氏の曲目解説。
リマスターをしたアビイロード・スタジオのサイモン・ギブソン氏のライナー「ヴィルヘルム・フルトヴェングラーSACDプロジェクト」
フルトヴェングラーのSACD
・新リマスター音源仕様
・EMIアビイロード・スタジオによる96kHz/24Bitデジタル・リマスター
・ノイズ・カットを最小限に抑え、録音会場での音響の再生をめざしたマスタリング
・EMI所有の正規録音をリマスター
・日本のみのSACDハイブリッド盤発売
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フルトヴェングラーのEMI録音SACD。第2回発売から
好評のフルトヴェングラーのSACD、第2回発売からこの『ウィーンのフルトヴェングラー第1集』をレビューします。
収録曲はモーツァルトの交響曲第40番とハイドンの交響曲「驚愕」。LPはこれで1枚でしたが、このSACDには、さらに〈魔笛〉から夜の女王のアリア2曲。グルックの「アルチェステ」序曲と「オーリードのイフィジェニー」序曲も収録されています。
フルトヴェングラーのト短調シンフォニー、理想の好きな演奏
1954年録音のグルック「アルチェステ」序曲では、モノラル音が大きな像で、のびやかに現れます。アナログ感も十分で、ふくよかな音はSACD化を堪能できます。
つづいて、モーツァルトの第40番。この曲をグルック並みの音で聴ければ感激だったのですが、残念ながら、ヒスノイズのあるひとまわり細い音です。1948年から49年にかけての録音はさすがに、54年録音ほどには大きな音像がでていません。
それでも音楽として聴くには十分。音が細くなった範囲内で「豊かな鳴り方」はしております。特に第3楽章のメヌエットは、結構厚みがある弦の音がします。
昔からこのフルトヴェングラーの演奏は、一番好きな「ト短調シンフォニー」の演奏でした。特に第1楽章の有名なメロディは、フルトヴェングラーのかなり早いテンポが、自分にとって理想のスピードだったのです。
〈魔笛〉からの夜の女王のアリア2曲。歌手のヴィルマ・リップは、どこか単調ですが、こちらはヴォーカルの音質が、すごいいいです。バックのオーケストラとは不釣り合いなほど、ナマナマしい声です。
再びグルックの序曲とハイドン「驚愕」
そのあとはまたグルックで、「オーリードのイフィジェニー」序曲。グルックの2曲は音質的にも音楽的にも、このSACDで一番の掘り出し物かもしれません。
豊かで、ざらついたアナログ音を堪能できました(54年録音)。10分におよぶ演奏は「まるでワーグナーのような陶酔感!」と思って解説書を読んだら、この楽譜はワーグナーが手を加えた楽譜だとか。フルトヴェングラーのコクのある演奏を堪能できます。
そして最後が、ハイドンの「驚愕」。有名な演奏なので文句なし。音も太いアナログ音。弦のゴリゴリ感はたっぷりです(51年録音)。
グルックもモーツァルトもそうですが、ロマン派に半分足を突っ込みながらも、凛として進むフルトヴェングラーの古典派の演奏が、とても好きです。
モーツァルトとハイドンは、LPレコードでも持っていたのですが、盤質はイマイチでした。SACD化で一生聴ける音になったのがうれしいです。さらにグルックが加わって、うれしい一枚になりました。
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第1回発売 『ベートーヴェン:交響曲第9番〈合唱〉』レビュー EMI フルトヴェングラーSACDタイトル一覧
SACDラボのEMIフルトヴェングラーSACDの一覧です。
2011.2.28
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