録音1970年5月22日、東京文化会館
国内盤、ソニーミュージック
SACD1枚。約83分収録。
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ジャケットは本ディスク演奏後の拍手に答えるジョージ・セルとクリーヴランド管弦楽団の写真。
普通のプラケースにブックレット。ブックレットにはライナー。吉田秀和「ジョージ・セルの音楽」、ソニー・ミュージック京須氏「マエストロのフィナーレ」。
あと1970年来日公演の記録(全演奏日の曲目)と曲目解説。
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永遠に持っていたいクラシックSACD
これは数多く持っているクラシックSACDのなかでも“お宝”にしているSACDです。何にも変えられない唯一無二のSACD。
なにしろ音源がすごい。ジョージ・セルとクリーヴランド管弦楽団が1970年に来日したときのライヴ録音。会場は5月22日の東京文化会館。その日の演目を丸ごと1枚のSACDに収録しています。ジョージ・セルはこの2ヶ月後に亡くなってしまったので、最初にして最後の来日公演となりました。
セル&クリーヴランド管弦楽団の完璧な室内楽的演奏
プレイボタンを押すと、セルが舞台に登場したのでしょう、拍手がおこります。
最初に演奏するのはウェーバーの歌劇「オベロン」序曲。まったく知らない曲でした。
でも冒頭から霊感ただよう気配なんです。テンポが上がったところからは、セルに鍛え上げられたクリーヴランド管弦楽団の屈指のアンサンブルが燃え上がります。「ウォーミングアップに」でもあり「まずは、名刺がわりに」でもある完璧な演奏。全然知らなかった「オベロン」序曲が、ディスク最初(演奏会最初)を飾るにふさわしい超有名曲に思えたほどです。
ドンピシャのモーツァルト:交響曲第40番
つづいて前半メインの、モーツァルトの交響曲第40番ト短調。
有名な哀愁ただよう第1楽章は、昔から自分でもコダワリの楽章。テンポとフレージングがドンピシャに気に入った演奏は、フルトヴェングラーのレコードしかなかったのですが、このセルの演奏はそれに匹敵するドンピシャ。
テンポやフレージングはさておいて、オーケストラ・アンサンブルの極地がかもしだすこのモーツァルトは、他の演奏家とちがいます。心地よい緊張感の支配下におかれた独特のモーツァルトです。他の曲もそうですが、ライヴ演奏でここまで演奏してしまうのは驚きです。
ナマで聴きたかったシベリウス
次はメインプログラム、シベリウスの交響曲第2番。
第1楽章からうっとり。もうセルがいいのか、曲がいいのか判断できません。
第4楽章は盛り上がりと陶酔の音楽ですが、オーディオで聴いていてもすごい緊張感です。これを実際に会場で聴いていたら、涙ものだろうな、と思いました。
終わった瞬間に猛烈な拍手とブラボー。「いい演奏が聴けた」というよりも「ナマで聴きたかった!」という悔しさのが先に起きてしまうほどでした。
アンコールはベルリオーズのラコッツィ行進曲。軽快なノリでシベリウスの緊張感をほぐします。
まるで一つの作品のような演奏会
この演奏会は1曲目のウェーバーからアンコールまで、ひとつの作品のようです。
そしてそれが丸ごと1枚に収められているこのSACDも、商品というより作品のようです。 ですから“お宝”SACDと大事にしているわけです。
音源は6mmマスターテープ。若干のヒスノイズはあるが気になるほどではありません。同じものがCDでもリリースされていますが(CDは2枚組になる)、クオリティを損なわないSACDで持っていたい1枚。SACD専用ディスクです。
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2009.8.29
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