小山実稚恵（ピアノ）
ラフマニノフ：ピアノ協奏曲第３番

SACDの威力を発揮

　クラシックのレコードは沢山聴いてきたが、これほど“いい音”のディスクは初めてです。
　というか、まったく新しい音の出方。
　空気感がＣＤとは全然ちがう。
　すこーん！　と空間が抜けます。
　この空気感こそSACDの最大の魅力だと思ってます。はっきり言って、あなたの家のスピーカーが化けます。
　思わず、スピーカーに「アンタ、こんな音を出す力があったのかい！　今まで何やってたの？　ポンポン」と語りかけてしまうほどです。
「デジタルよりアナログのほうがいいよ」と昔のオーディオを懐かしんでいる筆者だが、「最新技術ってスゲー！」とびっりしてします。

トリプルＡのラフマニノフ

　ということで、『ラフマニノフ：ピアノ協奏曲第３番』は、筆者にとってAAAのディスクです。

1　曲がいい
2　演奏がいい
3　録音がいい

　今まで、ラフマニノフの３番といえば、映画「シャイン」のモデルとなったヘルプゴットのＣＤとアシュケナージのＣＤ（プレヴィン指揮ロンドン交響楽団）を聴きわけてきました。
　ヘルプゴッドやアシュケナージも気に入っていますが、本ディスクを聴いたあとでは、おとなしく額に納められた音を聴いている気がして物足りなくなります。
　小山実稚恵のピアノは、空気感まで共有している感じ。その意味で“ライヴ”な音です。
　フィナーレはポリーニを思わせる力強いタッチで、ガシガシ弾いてきます。そこも等身大のラフマニノフに感じられて、すごく好きです。
　深夜、ラフマニノフに浸ることを楽しみにしている筆者には、最高のディスクであります。

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