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S
小山実雅恵
スクリャービン:ピアノソナタ全集

ディスク


録音2002年〜2004年
国内盤、ソニークラシカル
CD3枚組

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ディスク1にピアノ・ソナタ第1番から第5番。
ディスク2にピアノ・ソナタ第6番から第10番。
ディスク3に即興曲、前奏曲、練習曲など。
昔からの3枚組プラケース。ブックレットには曲目解説。

比類のない作曲家スクリャービンのピアノ・ソナタ全集

 スクリャービンは19世紀末から20初頭を生きたロシアの作曲家です。なじみは薄いですが独特の作品を残しています。
 この3枚組CDはスクリャービンのピアノ・ソナタ全集です。DSDレコーディングされながらも、SACDではなくCDで発売されたのは残念ですが、素晴らしいCDだと思うのでとりあげました。
 収録されているのは2枚のディスクにピアノ・ソナタ第1番から第10番まで。3枚目に「24の前奏曲」や即興曲ら小品。

永遠に見渡すことのできない暗闇に惹かれて、何度も聴いてしまう

 スクリャービンのピアノ・ソナタは、初期はショパンやシューマンに影響された感じですが、だんだん“神秘主義”ともいえる精神的音楽へと突き進んでいきます。第5番から第10番までは単一楽章となります。
 これら第7番「白ミサ」とか第9番「黒ミサ」と名付けられたピアノ・ソナタのたぐいを聴いていると、同時代のどの作曲家とも似ていない、そしてどの作曲家からも得られない“不思議な音楽のうねり”を感じます。
 あと小品が収められたディスク3も素晴らしいですね。このディスク3を一番聴くかもしれません。
 「24の練習曲」はショパンとドビュッシーか同居しているような、なんともいえぬロマンチックさ。かと思えば詩曲「焰に向かって」のエネルギーはスクリャービンらしい神秘体験へのありあまる熱情を感じてしまいます。
 CD3枚には、どこをとっても比類のない作曲家の比類のないピアノ音楽が詰まっています。「聴きました、良かった」では終わらない、永遠に見渡すことのできない暗闇に惹かれて、このCDを何度も聴いてしまうのです。

太いパイプでろうろうと、そのなかで繊細に、ダイナミックに

 小山実雅恵の演奏は骨太であるところが、とても気に入っています。スクリャービンの音楽を、大きな太いパイプでろうろうと流しだしてくれる感じです。そのなかで、もちろん繊細な響きや、ダイナミックな打音がいろいろとうごめくのです。
 スクリャービンはこれくらいに太いパイプを通して出してあげたほうが、かえって“神秘的”に聴こえると思うんですね。
 「スクリャービンのピアノ・ソナタを聴くのにこれほどバッチリな演奏はない」と満足している僕の愛聴盤です。SACDでないのが残念ですが、いい音のCDです。

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2010.3.30