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ザ・グレイト・ジャズ・トリオ ブルー・マイナー〈音匠仕様〉

Tower Records
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Hybrid DSD Recording
〈音匠仕様〉
録音2008年9月
国内盤、Eighty-Eight's

音匠仕様について
Eighty-Eight'sレーベルは今後、〈音匠仕様〉を標準仕様にしていくそうです。
〈音匠仕様〉は、もともとはソニーがDVDの音質改善用に開発したもの。赤色ビームの補色である緑色をコーティングすることで乱反射を吸収。デジタル信号のジッターを減らす役目があるという。
Eighty-Eight'sプロデューサー伊藤八十八氏によれば、マスタリングでは意図どおりに出来上がっていたのに、ディスクになると聴感上の音量が小さくなる、音像が上に上がる、リバーブ感が減衰してしまう、という欠点を軽減する効果があるそうです。
SA-CDラボ的には音の情報量が増え、粒子が細かくマイルドになった気がしました。

ハンク・ジョーンズの“マジック・タッチ”に聴き惚れます

 ハンク・ジョーンズひきいるザ・グレイト・ジャズ・トリオの最新録音。今回はベースがジョージ・ムラーツ、ドラムがビリー・キルソンです。ゲストにケイコ・リー、TOKUも、それぞれ1曲づつ参加しています。
 冒頭「ニカズ・ドリーム」が、スピーカーから飛び出した瞬間、2つの驚きにおそわれました。
 ひとつはハンク・ジョーンズのピアノ。とにかくタッチがやわらかい、そして軽やか。
 「ニカズ・ドリーム」では、軽やかに舞うチック・コリアの70年代のフェンダー・ローズのタッチを思わせるほど(ハンクが弾くのは生ピアノですが)。90歳とはいえ、これだけ生き生きとしたプレイは、彼の中でもこのアルバムが最高ではないか。
 ジョビンのボサノヴァの名曲「波」でも、うっとりと“マジック・タッチ”に聴き惚れてしまいます。今回は「ピアノに聴き惚れる度」が高い。
 ケイコ・リーとTOKU(歌とフリューゲル・ホルン)が4曲目と8曲目に参加して、アルバムにメリハリを与えているのも、全体が聴きやすくていい。

SACDのいい音は、オーディオ用語をこえて「脳にカイカン」

 「ニカズ・ドリーム」がスピーカーから飛び出した瞬間、「これはいい音だ」と思いました。これが2つ目の驚きです。
 音が自然に広がる極上のマイルドさ。ピアノタッチの「アヤ」まで丁重に再現しているのもわかります。それからSACD特有の音の周りの「空気感」も。
 高音質をよく色々なオーディオ用語で解説していますが、これはもう理系の言葉では言えないな、と思いました。
 高スペックなオーディオが聞かせてくれるのは、自然な音で、ただただ「脳がカイカン」を感じるばかりでした。あと随所に出てくるドラムソロも、オーディオ的にカイカン。
 ともかくSACDのリファレンスとして使え、みなさんのオーディオが素晴らしい音を出すディスクだと思います。DSDレコーディングに加えて音質のいい〈音匠仕様〉になっているのもいい。相変わらずの、綺麗な見開き紙ジャケットです。

Tower Records
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2008.12.7

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