リバーサイドのビル・エヴァンス・トリオの、61年スタジオ録音
本作はビル・エヴァンスが、リバーサイドに録音した、有名な4枚のアルバムのなかの1枚です。1961年2月のスタジオ録音。
ライヴ盤『ワルツ・フォー・デビー』『サンデイ・アット・ザ・ヴィレッジ・バンガード』がその年の6月の録音、さらにスコット・ラファロの死が7月になります。
ビル・エヴァンスのリバーサイド4部作の中では、この『エクスプロレイションズ』が一番「後回しにされるアルバム」と思いますが、これも素晴らしい作品です。
もう1枚のスタジオ録音『ポートレイト・イン・ジャズ』(1959年リリース)が有名なために、比較されるわけですが、本作にも「イスラエル」「エルザ」「ナーディス」といったビル・エヴァンスの定番、名曲が多いです。
個人的には本作のほうが『ポートレイト・イン・ジャズ』よりも、3人のインタープレイ度は薄れ、その分エヴァンスのピアノが際立つ気がしました。印象派的なエレガンスなタッチから、粋なブロックコードまで、エヴァンスの演奏を堪能できます。
もちろんスコット・ラファロは、おなじみの高いトーンでのベース・ソロを披露しますし、ポール・モチアンもラストの「スイート・アンド・ラブリー」で、派手なドラムソロをしてまとめます。
ボーナス・トラック2曲入り
SACDは2004年、Joe Tarantinoによるマスタリング。
ボーナス・トラックを2曲収録。1曲は「ビューティフル・ラヴ」(take 1)で、なんとオリジナル・アルバム3曲目にある同曲(take 2)のあとに続けて収録されています。
たぶん『ポートレイト・イン・ジャズ』の「枯葉」のステレオとモノの2曲連続収録にかけたものかもしれませんが、ちょっとくどい気がします。
これは今回のSACDが初めてではなく、80年代あたりのCDでやられていたため、そのマスターを使用したせいと思われます(気になる方はユニバーサルのSHM-SACDが、ボーナス・トラックを最後にまとめていますのでそちらを)。
もう1曲のボーナス「ザ・ボーイ・ネクスト・ドア」は、本編に含まれてもよいほど出来のよい演奏。こちらは本編のあとに入っています。
ナチュラルなSACDの音
SACDの音はナチュラルなもので、好感のもてるもの。
エヴァンスのピアノは、派手な演出もなく自然に鳴り響きます。これ以上の高解像度は望みません、これで十分です。
ブロック・コードはたっぷりした、厚みのある響き。スコット・ラファロのベースは、ときおり最低部の音で重量感がでます。
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ビル・エヴァンスのリバーサイト4部作SACD(輸入盤)
 2012.4.17
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