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マジカル・ミステリー・ツアー(モービル・フィデリティ)

ジャケット上部の「ORIGINAL MASTER RECORDING」の定番ロゴがまぶしい。最初違和感があったけど、これが何かブランドに見えて、みごと策略にハマった感もある。

Yahooオークションで一番狙っていたもの。それはビートルズの高音質盤として有名なモービル・フィデリティ社(Mobile Fidelity Sound Lab)のレコードであった。このレコード、オリジナルテープを通常のレコードの半分のスピードでカッティングし、プレスも日本のビクターに依託するなど、音質が普通のレコードより良い(ということになっている)。
 最初はセットで売られたが、のちにバラでも売りに出された。今回手に入れた『マジカル・ミステリー・ツアー』もバラ売りのもの。
 このレコードの落札価格は・・なんと6050円である。「安い!」と思ってくれる御仁はマイフレンド。モービル盤は普通、中古でも15000円あたりまで値段が上昇する。僕が落札したのはジャケットが一部ふやけているものの、ディスクの状態は優。この値段ならレコードの神様も許してくださるのだはないか。

ロックに高音質盤は必要か

ジャズやクラシックをオーディオとしてこだわるのは、わからないでもないけれど、反体制、またはカウンターカルチャー(だった)ロックに高音質盤は矛盾しないか?
 たとえばセックス・ピストルズに高音質盤はいらないだろう。 …などと書いたが、まー、堅いこと考えずに「ビートルズは高音質で聴いてみたいよね」。 さっそく針をおろしてみる。

気になる音質

気の利いたオーディオ用語を知らない僕には、ディスクの聴き比べほど、酷な作業はない。 いっさいやらない主義だったのだが、今回ばかりは小遣いをつぎ込んでいるから、東芝音楽工業の『マジカル・ミステリー・ツアー』と恐る恐る聴きくらべてみた。
 結論から書くと、うちの妻が黒木 瞳に変わるほど高音質ではない。でもスッピンの妻がメイクしたほどの、変化は聴き取れる。
 その様子はサウンド・トラックにあたるA面で顕著だ。音がきれいで開放感が増す。音のエッジも、テーブルのかどを面取するかのように、丸くなってまろやかな感がある。ちょっと離れれば、どちらも同じテーブルにしか見えないだろうが、こだわる者にとってはここがたまらない。

モービル盤のほうが楽しいかな

聴きくらべてみて思ったのは、僕はモービル盤で聴くほうが好きだ、ということ。一聴したところ東芝音楽工業盤も悪くないのだが、なんと言えばいいのかなあ、モービル盤のほうが、心地よく右脳に染みこんでくれるような気がする。
 ステレオ感がでている曲のほうが効果がありそうな気がした。十分なトラックで余裕を持って録音した『アビー・ロード』など一度聴いてみたい。トラックダウンなしのシンプルな初期もどうなるか、確かめてみたいものだ。
「結局、全部揃えるつもりかい?」そんな声が聞こえてきた。その問いに対して僕はこう答えておこう。 「そのつもり。でも値段は4ケタまで。なんとかこの範囲でそろえたい」と。ああああ、と僕はその時、なぜか叫び声をあげてしまった。